カフカス旅行記 8 【アゼルバイジャン】バクー

カフカス旅行記7の続きです。

最初からはこちら(カフカス旅行記 1 【グルジア】トビリシ~ボルジョミ - ながさっちゃんぽん

 

2020/2/24 バクー

 

トビリシからバクーへは僅か1時間だが,Buta航空ではLCCながら機内食が出る。「Cheese or sausage?」と聞かれたので一応複数の選択肢があるらしい。

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Sausageと言って出て来たサンドイッチ。まあ喰えなくはないという味。俺以外の殆どの乗客は機内食を遠慮していた。

1:05,バクー国際空港に到着。アライバルビザの発券機は入国審査前にある。係員が駆けつけて物凄いスピードで勝手に操作してくれるので安心。レシートのようなアライバルビザが発券される。失くさないようパスポートのどこかに貼り付けておくと良い。

入国審査ではアルメニアについて尋問されないか心配だったが,一切なかった。トビリシ空港で出国スタンプが一番後ろの頁に押され,そこにアライバルビザを挟み込んでおいたので,中のアルメニア入出国スタンプが見られなかったのかも知れない。ただし,顔写真ページを見て「Changed?」と訝しまれた。数年前に撮った写真やねんからそりゃ多少は変わるやろと思いつつ「Not Changed.」で特に何もなく通過できた。

空港で両替,SIMを購入。一日なのに29マナト(=1800円)もした。ホテルまでのタクシー運転手曰く街中なら5マナト(=310円)で済んだらしい。何やら面倒なタイプのアクティベートを全部係員がやってくれたので,その手間賃として納得することにした。

2:00頃に投宿し,3:00頃就寝。

 

翌朝9:30頃起床。昨日のタクシー代を請求される。昨日はタクシー代要らんって言ってたやん…。空港で両替したマナトが無くなったので銀行まで15分程歩いて再び現金を手に入れる羽目になった。

10:12,Gənclik駅に徒歩で到着。バクーカード(交通系ICカード)を購入し,メトロで28May駅へ。28May駅はアゼルバイジャン国鉄のバクー駅に相当する。旧ソ聯の地下鉄は核シェルターも兼ねてかやたら深い位置にありがちだが,この駅はそうでもなかった。

バクー駅着後,窓口にてオンライン購入済みのバクー→トビリシ国際列車の切符を受け取る。この日は一日でバクーを観光し,夜にはこの国際列車でトビリシに戻る。バクーは見所がコンパクトに密集しており,半日あれば徒歩で観光できる。

まずはカスピ海沿いへ行ってみることにした。

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何かを作っていた。

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フレイムタワーが見える。

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翩翻と翻る国旗とフレイムタワー。

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絨毯博物館。

ケーブルカーで丘の上に行こうとしたが,駅工事で運休していた。仕方なく階段で丘の上を目指す。

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中々の絶景。

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丘の上はかなり荒れており廃墟感がある。

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殉教者墓地の慰霊モニュメント。殉教者墓地ではソ聯との黒い一月事件やアルメニアとのナゴルノ・カラバフ戦争での犠牲者が追悼されている。今なおアルメニアとの禍根は消えず,両国は現在(2020年2月)も国交を有していない。

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殉教者の小道はフレイムタワーの直ぐ目の前にある。

 

13時頃,丘を下りて旧市街へ向かう。

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ガイドブックなどで「迷路のような」と形容される世界遺産の街並み。しかし一番迷うのは旧市街に入る段階では?(東側から入ると簡単)

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世界遺産・シルヴァンシャー宮殿。世界遺産なので取り敢えず行ってみたが,特に自分の琴線に触れるものは無かった。

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 宮殿に遺されたアルメニアとの戦争での銃創。

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15:09,旧市街東側にある世界遺産・乙女の塔へ。何の為に作られたのかすら不明らしい。名前についても由来不詳で,「乙女の(Qız)」は攻め落とされたことのない防衛施設を意味するという説が有力のようだが,はっきりとは解明されていない。乙女の塔屋上からの眺望は良かったが,良くも悪くもただの塔だった。

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旧市街の東側の一帯は飲食店が密集しており人通りも多かった。ソ聯車も散見される。いい景観。

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遅めの昼食にビリヤニを食べた。ビリヤニより謎の緑色の汁とチャイがめちゃくちゃ美味かった。アゼルバイジャングルジアと違ってあまりこれといった名物料理が浮かばない。飯を食っているとbooking.comから今朝の宿がNo Show扱いになっていると連絡が来た。タクシー代の件といい今朝の宿はハズレだった。宿にbooking.com経由で連絡し,最悪の場合直接赴く事を考えたが,暫くして修正しておくと返事が来た。

一通り観光し終え充電も済んだところで,近郊電車の乗り鉄をしに行くことにした。

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18:20,メトロでバクー駅に戻ってきた。バクー駅はややこしい構造をしている。この写真の建物の中に近郊電車の切符窓口と改札があり,その奥に乗り場がある。国際列車の窓口はこの建物の向かいの建物(メトロの建物との間にある)の一階にある。国際列車の乗り場はこの写真の右手(つまり近郊電車の切符窓口の右手)にある。

Koroğlu駅で降りてメトロで帰って来ようと思い,近郊電車切符窓口で「Koroğlu!」と言うと,「Pirşağı?」と返された。降りる駅ではなく乗る路線の終点駅を言うシステムらしかった。ピルシャギまでの切符を0.9マナト(=56円)で購入。

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改札を通って乗り場に行くと近代的な電車が入線してきた。全車輛ダブルデッカーは壮観。グルジアで走っていたバトゥミ~トビリシの特急電車と同じメーカーの車輛である。

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地元民以外の解読が困難な電光掲示板(後で考えたがPIRはピルシャギ,BAKはバクー,SUMはスムガイト,0H:15は15分後という意味だろう)。発車時刻になっても発車しないのでおかしいと思っていたら別の番線から電車が発車して行った。電光掲示板が読めないので乗る電車を間違えた。ピルシャギ行きが出て行ってからちょうど10分後に発車したので,上の画像から今乗っている電車が18:55発スムガイト行きであることが判明した。

スムガイトまでは三駅しかない。通勤ラッシュで混雑していたが,大半の乗客が一駅目のBilajari駅で降りて行った。乗り心地は大変良く,運行本数の割にしっかり保線されているようだった。車内も清潔だった。

バクー駅を出てから約40分でスムガイト駅に到着。改札にいた老人に誤った電車に乗ってしまった事を切符を見せて何とか伝えると,私を直ちに駅員まで誘導して事情を説明してくれた。駅員に帰りの運賃を支払うと超特急で切符が発券され,もうすぐ(引き返す電車が)出るから急げ!と言われ,その場に居合わせた女の子が先導して案内してくれた。自分の不注意で色々な人に面倒を掛けて申し訳なかったが,スムガイトの人達は親切だった。今度必ず再訪したい。

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19:40スムガイト発バクー行き電車。行きと一転してがらがらだった。車内はこのように対面型固定のクロスシートで,3列版のE215系というイメージに近い。軌間1520mmだけあってやはり車幅が大きい。

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バクー~スムガイトの時刻表。通勤に特化しており昼間は運転されない。運賃は1.1マナト。20:18,バクー定着。地下鉄でIcherisheher駅に移動しフレイムタワーのフレイムを見に行くことにした。

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地下鉄車内は木目調のデザイン。ガラガラだった。

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Icherisheher駅から地上に出たところ。バクーは夜の方が綺麗な気がする。

丘を上り,Pirvənzərəという階段の踊り場でフレイムタワーを鑑賞。

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アゼルバイジャンの国旗を振る人。これが見たかった!

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フレイム。

一頻り満足したところで丘を下り海岸の方へ。ケーブルカー横の階段は夜になると真っ暗で非常に怖かった。iPhoneのライトを懐中電灯にして前方を照らしながら下りた。

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ちょっとした地下歩道がこの高級感,産油国の趣。

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アゼルバイジャン感溢れる一枚。

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夜の旧市街。奥の前衛的なフレイムタワーとのギャップが良い。

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旧市街東側の飲食店密集エリア。夜も人通り・車通りがとても多い。

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夜の方がやはり綺麗。

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22:49,Sahil駅からメトロに乗ってバクー駅に戻ってきた。国際列車窓口の右手にあった電光掲示板を見ると,どうやらバクー~モスクワやバクー~キエフという心躍る国際列車が存在するらしい。調べたが第三国の人間は乗れないらしい。

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プラットホームに上がって来た。トビリシ行きは1番線から23:15発。

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右が23:15発トビリシ行き国際列車。左はアゼルバイジャングルジア国境のBöyük Kəsikまでの夜行列車で23:55発。

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PLはプラットホーム(島)で,YLはそのどちら側かという意味らしい。

自分の乗る号車に行き,係員にパスポートと切符を見せて乗車。今回も二等寝台を利用。一般に二段寝台は高さのある下段が好まれる傾向にあるが,乗車してすぐ横になりたかったので上段にした。下段にしてしまうと,上段の人も眠くなるまでは下段に腰掛けるので乗車してすぐ横にはなれない。

エレバントビリシの二等寝台と違って,上段に下段の寝具もまとめて置かれていた(エレバントビリシは枕以外の寝具は車掌が配りに来た)。一先ず通路上部分のスペースに抛り込み横になった。

エレバントビリシの二等寝台と同じく4人一室のコンパートメントで,私,アゼルバイジャン人,アゼルバイジャン人,グルジア人の4人だった。アゼルバイジャン人二人は国境近くのBöyük Kəsikで降りて行った。

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発車して暫くして車掌がシーツを配りに来た。袋がめっちゃかっこいい。

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シーツを敷くとこんな感じ。枕にもシーツが配られ清潔。コンセントも片側の下段に一つだけあり,全体的にエレバントビリシの二等寝台と比べてレベルが高かった。

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時刻表が廊下に掲出されていた。

車内ではアゼルバイジャン人の老爺とグルジア人の老爺がロシア語で旅の思い出話をしていた。

 

カフカス旅行記9へ続く。

qjitai.hateblo.jp