【新曲】in fact (All I Need Is Your Love Remix)について

新曲「in fact (All I Need Is Your Love Remix)」を投稿した。

デレマスの橘ありすのソロ曲「in fact」のremixで,この歌を初めて聴いた時にバラードなので重めのムンベにremixしたら聴きごたえありそうだな~と去年の11月頃からしこしこ作業していたものを何とか年度内に(学生のうちに)完成させられた。

自分用の備忘録としてこの曲とMVの制作について残しておく。

 

1. 編曲

1番のAメロはピアノの音選びやふわんふわんしたfuture bassっぽいシンセを入れるかどうか迷ったくらい。ピアノのreverbの細かいオンオフを入れてみた。ピアノを弾く時音が濁らないようにペダルを踏んだり離したりするが,それをイメージしてオンオフのオートメーション書くと明らかに音が良い(めんどくさいが)。

1番Bメロはfuture bassっぽい展開からブレイクを挟んでムンベに移行という結構濃い内容なので違和感のないよう仕上げるのにめちゃくちゃ苦労した。ふわんふわんしたシンセ(Serum)のCutoffの調整に難航した。Serum買って半年くらい経ったけど操作が未だに全然わからない。結局アクセントとしてデフォルトのプリセットにあったTrap系の「ヴォン!」みたいな音を入れたらまあまあいい感じに締まったと思う。ミックスに関してはありすの声が掻き消えないように注意した。別件でボーカルを外注した楽曲を制作中なのだが,その時にあまりに楽器がうるさくて肝腎の声が聞こえなくなったことがあり,この曲ではありすの声がちゃんと聞こえるように細かく音量のオートメーションを書いた。

1番サビからムンベパート開始。ここは結構すんなりできた。前作の「unfold」と同じくふわんふわんシンセをOTTきつめにかけてめっちゃSideに振ってムンベで鳴らすのにハマっている。ベースは一応サイドチェインで潰しているが,MidベースはSubベースより圧縮量小さめにした。ムンベではあんまり露骨なサイドチェインはない印象なのであまりにパツパツにがっつりかけると変な感じになる。

続く1番ドロップ部分,編曲は全体として割とすんなりできた。どこかが配布してたSylenth1のプリセットを漁って弄り散らかしてたら一番難航しそうなリードシンセの音選びがあっさり終了した。矩形波とかのこ波とかを重ねたやつ,detuneめっちゃかけたのこ波,ベルを鳴らしている。プリセットdigりはやはり大事。ベースは音選びにちょっと悩んだが,忘れたころにKairatuneを使うと芯が強く残っていい感じになった。Kairatuneのモノラルのベースを軸として,ステレオ成分とサブをSylenth1で包んだ。有能フリーシンセ,忘れがちだがやはり有能。音選びに迷ったら思い出して使ってみると良さげ(今でも深くてエモみのあるプラックが欲しいときはT-force Alphaをよく使う)。そんな感じで編曲はすんなり終わったものの,ミックスが難航した。というか投稿した現時点でも満足できていない。試しにリードシンセとベースのグループトラックそれぞれにNeutronを挿してMaskingを確認すると6k~10kがまあまあ赤くなる状態である。しかしながらベースの6k~10kをEQで削るとかなり曇った感じになってしまい,音量調整による解消もうまくいかず,結局この衝突はどうしようもなかった。みんなよくやってるピークサーチ(めっちゃ尖らせて「耳障りな音」を下げるやつ),全然わからんし全然できん。モニタリングスピーカー導入したらできるんかな。EQが下手だとこういう時非常に困る。ミックスうまい人にアドバイスが欲しいところ。

ブレイク部分は,PADの音選びとありすの声ネタ探しに時間をかけたくらい。ここの声ネタは色々考えた末にSSR[ありすのティーパーティー]の親愛度演出を使った。曲名の副題とも関係するが,語りだすと長いので(オタクなので…),この記事の最後におまけ程度に後述する。

2番のAメロは前作でも取り入れたエレピ+低いベース+8分プラックの少な目構成。ベースはポルタメントを利かせてたまに1oct上にグライドしてやるといい感じにグルーヴ感が出る。プラックは芯の強いお気に入りの音を作っておくと重宝する(Cutoff開いたときにいい感じだと良くなりがち)。こだわった点としては歌のリズム(譜割り)が1番Aメロと2番Aメロで違うのでキックもそれに合わせて配置を変えた。

2番のBメロは一番難航した。構成としては1番Bメロと変化をつけたかったので千切り気味のムンベにしてみたが,ドラム回りの組み立て(特にクラッシュ系)に大変苦労した。ドラム回りが1番Bメロより激しくなったため1番BメロのSuperSawでは迫力がでなかったので別のSuperSawを起ち上げてStereoにガン振りした。それだけではなんか芯がなかったので薄めにハード系のピアノを重ねた。激しいのでボーカルが掻き消えないよう音量も細かくオートメーションした。

2番サビは最初のタメがなかなかいい感じに作れず,それまで試行錯誤していたfilterをHi-Passにして戻すという構想を思い切ってLow-Passにして戻す感じにしてみたらいい感じになった。雰囲気としてはDJプレイに近いタメになった。タメ終わりのクラップはreverbの利いた素材と芯の強くて高い素材とうっすらスネアを重ねた。タメ終わり後からは微妙にソフト系のピアノを重ねたが,いい感じに中域が埋まった気がする。

2番ドロップは真ん中の一瞬dubstepっぽくなる地帯のアイデアに時間がかかった。1番ドロップと全部一緒だと飽きるなと思ったのでなんか変化球を入れようと色々こねくり回してたら気が付いたらあんな感じになっていた。いきなり変化していきなり戻ってもテープストップで切り替えられるのでテープストップは偉大。

 

2. 動画

AviUtlの初心者過ぎて波形出すくらいしか能がなかったが,中間点を理解したので色々捗った。中間点って要はオートメーションでは?(DTM脳)

SSR[ありすのティーパーティー]のin factの3DMV素材は自前でスマホで画面収録して取り込んだ。ちなみに夏恋のMVのありすがめっちゃ好きなのでこっちも一応用意したが結局使うことはなかった(やっぱりin factのMVなので)。スマホで画面収録した動画は.mp4でそのままだとAviUtlに読み込めなかったので,まずXMedia Recodeなるフリーソフトでaviに変換したがなんかバグって緑色になった。そこでAviUtlにmp4読み込ませる外部プラグインを漁って「L-SMASH Works」を見つけて導入した。AviUtlは外部プラグインが豊富なのでやりたいことは根気よく探せば大体誰かが公開してくれている気がする。そしてL-SMASH Worksで無事mp4は読み込めたが,今度はサイズがでかくて読み込めないというエラーが出た。システムの設定ではフルHD(1960×1080)まで対応しているのにおかしいなと思いつつ,ムービーメーカーでHD(8400kbps, 60fps)に変換して何とか読み込ませることに成功した。なお後でわかったことだが画面収録の動画が640×1136になっていて,1136が抵触したっぽい。90°回転させれば読み込めたと思われる。

後はありすのロゴをキックに合わせて光らせるやつに苦労した。ネットを漁ってるとこういうプラグイン【AviUtl】ABFA01(発光、閃光、拡散、グロー、ライト)を配布。(音に合わせて光効果のVer2)【拡張編集】 - AviUtlスクリプト(配布物と使い方の解説))を発見したが,まず今見ているBuf番号が何Hzなのか自分の曲なのに自分でもよくわからず,キックを検知できなかった(多分キックが鳴っていないところで頻繁にMidベースやサブベースが鳴っているためと思われる)。そこで曲全体でキックだけ書き出した音源を別途作成し,音分割数を1にするというゴリ押しで検知させた。3DMV素材とこのアニメーション付きのロゴ,キックだけの音源を音声なしで一旦書き出して無音の動画にし,これを再び読み込ませてその他の波形などを書き込んだ。よくよく見るとこのアニメーションは検知してから光るのが若干遅い気がするので,キックだけの音源は少し前にずらしておくと良い気がする。あと別の方法もあるようだが(【AviUtl】AviUtl集中講座~音声波形表示 - ニコニコ動画),今回は使わなかった。

波形はいつもの棒のやつに加えてEDMのDJ Mix動画でよくある丸めてじわじわ出るタイプの波形を入れてみた。どうやってるのか調べたら上下反転して極座標変換するだけだった(AviUtlすげ~)。あとは覚えたての中間点で背景を移動させたり暗くしたり明るくしたりしてみた。AviUtl,勉強しだすと楽しい。自分で自分の曲に動画を作れる喜び。

 

3. 余談(オタクな話);副題の由来とか

この曲の副題「All I Need Is Your Love」のYourはいわゆる「プロデューサー」達を意図した。in factといえば配役決定以後厳しい逆境の中で佐藤氏がありすとして初めて舞台に立ち歌を届け切った3rd LIVEのイメージが付き纏う*1。その頃はアイマスに興味なかったので当時の事はよく知らないが,ある種のカテゴリーに属している(た)ことを理由として理不尽なレッテルを貼られていたことは間違いない。私は昨年2月COVID-19が中国で蔓延しつつある中で某国を訪れた際,苛烈なアジア人差別に遭った。「肌が黄色い人=ウイルス」というようなレッテルを貼られた訳であるが,こうしたレッテル(偏見)や一般化の誤謬による差別は人種以外でも学歴,性別,年齢など凡ゆる物事について散見され,普遍的な人間の性である。佐藤氏も元三次元のアイドルという(いかにも二次元のオタクが嫌いそうな)属性を持っていたために理不尽な誹謗中傷を受け*2,配役から3rd LIVEでin factを歌い終えるまではただひたすら苦しみに耐えていたと思われる。実際,配役決定時の2014.12.24について自身のラジオで「今まででこんなに辛いクリスマスはないんじゃないかってくらい…」と振り返っている*3

これらの背景を踏まえると,「みんなにちゃんと楽しんでもらえたことが、すごく嬉しくて。あの喜びは、なんだかLIVEに似ています。ファンのみなさんから、笑顔を向けてもらえるあの嬉しさに。」というありすの台詞には重みがある。SSR[ありすのティーパーティー]は実装が2017年であるから,2015年の3rd LIVEから約2年後である。それまであまり笑顔(=好意的反応)を向けてもらえなかったありす(佐藤氏)を取り巻く3rd LIVE前後の環境の変化がこの台詞に詰め込まれている気がしてならない。実際,佐藤氏はSSR[ありすのティーパーティー]について,

 と感想を述べている。3rd LIVEのin factでオタクはありすに魅了され*4,以後は笑顔(好意的反応)を向けられることが多くなったと思われるが,そういった事情と重なってこの台詞が佐藤氏を「どきっとさせ」たものと思われる。

in factは3rd LIVEのイメージが付き纏う。副題の「All I Need Is Your Love」は3rd LIVEでin factを歌うまでのありすの(佐藤氏の)心境を勝手に想像してつけたものである。

*1:http://oriaso.seesaa.net/article/436182632.html

*2:とはいえ最初の頃は演技力に難があったようだが

*3:「よにこも」12月17日放送分,https://nico.ms/sm27815958

*4:例えば3rd LIVEの公式YouTube動画ではin factへの言及がトップコメントの殆どを占める